犬の雑学

犬がひざに乗るのはなぜ?7つの理由としぐさの見分け方


ソファに座る飼い主のひざでくつろぐミニチュアダックスフンド

犬がひざに乗るのはなぜ?7つの理由としぐさの見分け方

ソファに座るとすぐにやってきて、当たり前のように飼い主のひざへ乗る犬。かわいらしい行動ですが、「どうしてわざわざひざの上を選ぶのだろう?」と気になったことはありませんか?

犬がひざに乗る理由は、甘えたい気持ちだけとは限りません。安心できる、暖かい、かまってほしい、不安を感じているなど、そのときの状況によっていくつもの可能性があります。

まず確認したいのは、ひざの上での様子です。

犬が自分から乗り、体の力を抜いて休み、いつでも安全に降りられるなら、ひざに乗る行動だけで問題とは限りません。震え、普段と違う呼吸、強い警戒、唸りなども見られる場合は、甘え以外の理由を考えましょう。

1.飼い主のそばにいたい

飼い主の体温や匂いを近くに感じられるひざは、犬にとって居心地のよい場所になることがあります。

体の力が抜けている、目元がやわらかい、そのまま眠り始めるといった様子が見られるなら、飼い主のそばで落ち着いている可能性があります。

2.安心できる場所で休みたい

信頼関係ができている犬にとって、飼い主のそばは休みやすい場所の一つです。少し眠いときや静かに過ごしたいときに、ひざを選ぶことがあります。

ひざの上で丸くなったり、飼い主へ背中を向けたまま眠ったりする姿も、周囲を強く警戒せずに休めている様子の一つとして見られます。

3.暖かくて居心地がよい

寒い季節や冷房の効いた部屋では、飼い主のひざが暖かい休憩場所になることもあります。

特に小型犬や短毛の犬、寒がりな犬は、暖かい場所を探して人の体に寄り添うことがあります。寒い日や眠る前にだけ乗ることが多いなら、暖まりたいという理由も考えられます。

飼い主のひざで目を細めて休むミニチュアダックスフンド

4.なでてほしい、かまってほしい

飼い主がテレビやスマートフォンを見ているときにひざへ乗るなら、「こちらを見てほしい」という働きかけかもしれません。

乗ったあとに前足で触れる、鼻先で手を持ち上げる、顔を見つめるといった行動が続く場合は、なでたり遊んだりしてほしい可能性があります。ただし、一つのしぐさだけで気持ちを決めず、直前の出来事も一緒に見てみましょう。

5.反応してもらえると学習した

犬は、自分の行動のあとに起きたことを学習します。ひざに乗るたびになでてもらえる、声をかけてもらえる、おやつをもらえるという経験が重なると、同じ行動を繰り返しやすくなります。

ひざに乗ること自体に犬も飼い主も困っていなければ、必ずやめさせる必要はありません。仕事中や食事中にも繰り返す場合は、飼い主の隣に犬用ベッドや滑りにくいマットを用意し、そこで静かに休めたときにもほめましょう。

6.怖いことや不安なことがある

雷、花火、工事の音、来客、慣れない場所などに不安を感じたとき、飼い主の近くへ来たり、ひざへ乗ったりする犬もいます。

不安や緊張と一緒に見られることがあるしぐさ

  • 体が震えている
  • 耳を後ろへ倒したり、姿勢を低くしたりしている
  • 食べ物がないのに、しきりに口や鼻の周りをなめる
  • 暑くなく運動直後でもないのに、呼吸が速くなっている
  • 落ち着かず、周囲を繰り返し確認している
  • 飼い主の体へ強く寄り添い、離れようとしない

※震えや速い呼吸は、寒さ、暑さ、痛み、体調不良などでも見られます。一つのしぐさだけで不安と決めず、複数の様子と前後の状況を合わせて確認してください。

犬が不安そうな場合は、力ずくでひざから降ろしたり、怖いものへ近づけたりしません。安全にできる範囲で音や人との距離を取り、犬が自分で選べる静かな場所や隠れ場所を用意しましょう。

ひざに乗るだけで、分離に関連する問題があるとは判断できません。留守番中に長く鳴き続ける、物を壊す、排泄を失敗する、落ち着かず歩き回るなどの行動が繰り返される場合は、可能なら留守番中の様子を記録し、獣医師へ相談してください。

物音に耳を向けながら飼い主のそばで様子を見るミニチュアダックスフンド

7.ひざの場所を守るような行動をしている

ひざの上にいるとき、家族やほかの犬が近づくと体を硬くする、凝視する、唸る、歯を見せる場合は、ひざという場所や飼い主との接触への接近を遠ざける、資源防衛に似た行動の可能性があります。

一方で、恐怖や体の痛みから触れられることを避けている場合もあります。行動だけを見て理由を一つに決めつけず、起きた場面や体調の変化も確認しましょう。

唸りや噛みつきの兆候があるときの注意

犬へ手を出す、抱き上げる、大きな声で叱る、反応を試すことは避け、子どもやほかの動物を安全な距離まで離してください。行動が繰り返される、強くなる、噛もうとする場合は、まず獣医師へ相談し、必要に応じて犬の行動診療に詳しい専門家の助言を受けましょう。

しぐさと前後の状況を一緒に確認する

ひざに乗るという行動だけでは、本当の理由を決めることはできません。乗ってきた直前に何があったのか、耳や目、尻尾、呼吸、体の力がどうなっているのかも一緒に確認してみましょう。

体の力を抜いて眠っている
安心して休んでいる、飼い主の近くが居心地よいなどの可能性があります。
前足や鼻先で飼い主へ触れる
なでてほしい、かまってほしいなどの働きかけかもしれません。
寒い日や眠る前に乗ることが多い
暖まりたい、静かに休みたいなどの可能性があります。
雷や来客のあとに乗る
音や人を警戒し、安心できる場所を求めている可能性があります。
周囲を警戒しながら強く寄り添う
緊張や不安が強くなっていることがあります。
人や犬が近づくと体を硬くしたり唸ったりする
場所への接近を遠ざけようとしている、恐怖や痛みがあるなど、複数の可能性があります。

※この一覧は診断ではありません。普段と違う行動が続く場合や、痛み・体調不良が疑われる場合は獣医師へ相談してください。

ひざに乗せても大丈夫?

犬と飼い主の双方に無理がなく、犬がリラックスし、安全に乗り降りでき、唸りなども見られないなら、ひざに乗ることを必ずやめさせる必要はありません。

ただし、ひざに乗れないだけで吠える、落ち着かない、何度も飛び乗ろうとする状態は避けたいところです。ひざで休む時間だけでなく、自分のベッドやマットで休む時間も作っておくと、犬が過ごす場所を選びやすくなります。

ミニチュアダックスフンドのように胴が長い犬、シニア犬、足腰や背中に不安がある犬では、ひざやソファからの不意のジャンプや転落に注意します。床へ近い位置まで支えて移動するか、安定して固定された滑りにくいステップやスロープを使いましょう。背中や関節の病気がある犬は、乗り降りの方法を獣医師へ確認してください。

安全にひざから降りてもらう教え方

低く固定されたステップから滑りにくいマットへ移動するミニチュアダックスフンド

犬にひざから降りてもらいたいときは、力ずくでどかしたり、大きな声で叱ったりせず、降りた先で安心して休める場所を教えます。

  1. 最初は飼い主が床や低い座面に座り、すぐそばへ滑りにくいマットを置きます。
  2. 小さなおやつや、いつものフード1粒を鼻先へ見せ、マットまでゆっくり誘導します。
  3. 犬の四つ足がマットへ着いた瞬間に「いいね」など家族で決めた褒め言葉を伝え、マットの上で報酬を渡します。
  4. 犬が動きを覚えてきたら、誘導を始める直前に「おりて」と一度だけ伝えます。
  5. 少しずつ手の誘導を小さくし、「おりて」の合図でマットへ移動できたら、その場でほめます。

練習のポイント

高い場所から飛び降りさせません。ソファなど高低差のある場所で練習するときは、安定したステップやスロープを使い、犬が滑らないことを確認してください。

報酬は小さくし、おやつを使った分は1日の食事量へ含めます。犬が体を硬くする、唸る、歯を見せる、噛もうとする場合は家庭で練習を続けず、獣医師へ相談しましょう。

急にひざに乗るようになったときの受診目安

以前はあまり乗らなかった犬が急に飼い主から離れなくなった場合は、生活の変化だけでなく体調も確認してみましょう。

  • 引っ越しや模様替えをした
  • 家族やペットが増えた
  • 留守番の時間が長くなった
  • 大きな音や怖い経験があった
  • 歩き方や動き方がいつもと違う
  • 食欲や元気が落ちている
  • 体へ触れると嫌がる

犬の痛みや体調不良が、普段と違う行動として表れることがあります。ひざに乗る回数が突然増え、元気、食欲、歩き方、触られ方にも変化がある場合は、早めに動物病院へ相談してください。呼吸が苦しそう、立てない、激しく痛がるなどの様子があれば、すぐに受診先へ連絡しましょう。

ひざに乗る行動だけで上下関係は判断できない

「犬がひざに乗るのは、飼い主より自分の方が上だと思っているから」と説明されることがありますが、ひざに乗るという行動だけで上下関係を判断することはできません。

飼い主のそばにいたい、安心して休みたい、暖まりたい、反応してほしいなど、順位とは別の説明がいくつも考えられます。

ただし、降りるよう促すと噛もうとする、家族を近づけない、ひざの上で繰り返し唸る場合は、安全に関わる別の問題として獣医師へ相談してください。

まとめ

ソファの隣の犬用ベッドで落ち着いて休むミニチュアダックスフンド

ひざに乗る理由として考えられること

  • 飼い主のそばにいたい
  • 安心できる場所で休みたい
  • 暖まりたい
  • なでたり遊んだりしてほしい
  • 反応してもらえると学習している
  • 怖いことや不安がある
  • ひざの場所への接近を遠ざけようとしている

体の力を抜いて休んでいるなら、飼い主の近くを居心地よく感じている可能性があります。一方で、震え、普段と違う呼吸、強い警戒、唸りなどが見られる場合は、甘えだけだと決めつけず、前後の状況や体調も確認してください。

ひざの上と、その隣のベッドやマットの両方で安心して過ごせるようにすると、犬も飼い主も無理のない距離で一緒にくつろげます。